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スタッフコラム-vol.3

アイアンリーガーは自分の原点

インタビュー:中山浩太郎  -前編-

熱血SFスポーツアニメ「疾風!アイアンリーガー」
現在、数々の新作で企画担当を担当する中山浩太郎は、
「アイアンリーガー」こそが自分の原点であると語った

まず中山さんは『疾風!アイアンリーガー』では、どのようなお仕事をなさっていたんですか?

中山僕は設定制作という仕事で、簡単にいうと設定の制作進行といった仕事なんです。今では設定制作が文芸の仕事を兼ねていることが多いんですけど、当時は文芸と別だったので、設定制作は人物、メカ、背景などの設定の発注が主な仕事でした。監督からこういう設定を描いてもらえという密な指示が出ることも多いんですが、アミノテツロー監督は比較的に抽象的な指示が多かったので、そういう部分ではデザインの発注をする際に自分がアイデア出しを楽しんでいた部分もありましたね。

お関わりになっていった経緯というのは?

中山「スポルジャー7」のタイトルで企画が起こって、アミノ監督を始めスタッフが決まり、特捜ものからスポ魂ものに路線変更して「アイアンリーガー」の原型が出来た段階で設定制作が居ないぞ、となったんですね。当時、僕は企画室に居たんですけど設定制作経験者であったからか、現場からお呼びがかかりました。
僕は「SDガンダム」に強かったので、SDものに強いということで声がかかったというのもあるかもしれません。

最初に発注したのは、やはり主役となるアイアンリーガーたちから?

中山当時、バンダイにいらっしゃった村上克司さんがお描きになったイメージ画をたずさえて大河原邦男さんにお願いに伺いました。本編では登場しませんでしたが村上さんのイメージ画の中には、力士リーガーや円盤投げリーガーが居たのを覚えていますね。大河原さんは「こういう作品は好きだから、メカは全部やるよ」とおっしゃって下さって、実際に各リーガーを始め、ボーシップ号などの宇宙船からシャトル、自動車からリモコンなども全部描いていただきました。20点近くある各話の設定を2日間くらいで上げてこられるんですよ。「描いていて楽しい」とおっしゃっていましたね。ある意味『疾風!アイアンリーガー』は大河原さんの集大成的な仕事ではないかと僕は思っています。
中には僕がアイデアを出したリーガーもいて、ヘッディングだけが異常に強い「スーパーヘッド」というリーガーは、杭打ち機みたいな頭で、後頭部に撃鉄を付けるというアイデアを使ってもらった印象深いアイアンリーガーですね。

そしてキャラクターの二宮常雄さんに、ルリィやエドモンド銀城の発注が行くわけですね?

中山人物キャラクターは二宮さんに「こんな感じかな!?」と何点か描いていただいて、作品に合ったものをチョイスしていきました。
リーガーデザインの方の二宮さんの作業は、大河原さんから上がってきたアイアンリーガーのメカデザインを元に生きたキャラクターとしてキャラ表をおこすキャラクタライズ作業です。喜怒哀楽の表情があるメカだけに、そういう部分がありましたね。現場にはディティールは大河原さんの設定、ポーズや表情は二宮さんの設定と、2種類の設定が行ってしまうことになってアニメーターさんからは「どちらを見て描けばいいの?」とお叱りをうけることもありました。また、ディティールを描き込んでも、アイアンリーガーは濃い色で彩色されることも多いので、マグナムエースの足のパーツなどはつぶれてしまって勿体なかった。
ちなみにアイアンリーガーの頬のツートンカラーも、影がついていなくても見栄えがするようにとアイデアを出したんですが、話が盛り上がって影がビシバシとつくようになり色数が倍になってしまいました。現場の負担を少なくしようと考えたアイデアなのに裏目に出てしまった部分です(笑)。
ただ、大河原さんも二宮さんも乗って描いてくれて、アミノ監督からリテイクが出ることは少なかった。設定制作としてはとても楽だったと思いますね。

メカとキャラで印象深かったことはありますか?

中山そうですね。こぼれ話になりますが、当時、スポンサーのバンダイさんがJリーグのフリューゲルスのスポンサーをしていたんですよ。サッカーリーガーのマッハウィンディーのカラーリングを「フリューゲルスの青にしますか?」とおうかがいを立てたら「人気があるのはヴェルディーだから緑にしましょう」と。
逆にマグナムエースは、南プロデューサーと僕がドラゴンズのファンなので「絶対に青だよな!!」と盛り上がっていたら、あっさりと赤に決まって2人で溜息をついたのを覚えてますね(笑)。

2002年6月20日(木)取材。

■スケール感に苦労!? 頭がデカいアイアンリーガーに続く!

プロフィール

中山浩太郎
1967年千葉県生まれ。
初仕事は「機動戦士ガンダム0080」制作進行。
以後「疾風!アイアンリーガー」設定制作などを
経て、企画担当として「機動武闘伝Gガンダム」、
「無限のリヴァイアス」、「WitchHunterRobin」
などを担当。
現在はフリーのアニメーション企画プロデューサーとして活動中。