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スタッフコラム-vol.2

アイアンリーガーの真実

インタビュー アミノテツロー -後編-

熱血、友情、勝利がキーワードのアイアンリーガー
ひょうひょうとした返答の中にもアニメに対する情熱がのぞくアミノ監督であった!

アイアンリーガーではロボットと人間との間に、特に上下の感覚がないのが素敵な感覚だと思うんですが。

アミノアイアンリーガーは人間にスポーツを観せるのが本分という大前提はあるんだけどね。で、そこからはぐれちゃったロボットは、はぐれリーガーになって暗い生活を送っていると……。僕の好きなキャラでリカルド銀城という人は、ロボットにある種の人格を認めていくというところは好きなところですよね。「鉄腕アトム」世代だからロボットと人間が一緒に暮らしている風景には、そんなに違和感ないんだよね。

アミノさんご自身には、お好きなスポーツなどはあるんでしょうか?

アミノ僕自身はね、実はスポーツって嫌いなの(笑)。スポーツは身体をこわすものね(笑)。でもスポーツが人間の闘争本能をかき立てるというのも確かなんだよね。嫌いと言いつつもTVで野球やっていればピッチャーがボールを投げるまで観ちゃうし、サッカーならシュートするまでは観ちゃう、相撲も勝負がつくまでは観ちゃうよね。そういう意味では、スポーツそのものより、たとえば世間がJリーグで一色になって、右見ても左見てもJリーグってなったりする、そういうのが嫌いなんだろうなぁ。そりゃ、居ますよ知りあいにもサッカーって言うと目の色変わったり、西武が負けると「もう、仕事しない!」って困った連中がね(笑)。うん、困ったもんだ(笑)。

特定のスポーツに執着がないからこそ、サッカーで勝ったら次は野球というように、次々に切り替えて行けたのでしょうか?

アミノ振り返って考えてみれば、そう言えるかもしれないね。当時もサッカーをもっと続けてほしいとか、野球をもっと……という声はありましたからね。制作サイドとしてはせっかく色々なアイアンリーガーがいるんだから、いっぱい出したいなという考えだったんですけどね。

具体的に試合が描かれないスポーツもありましたよね。

アミノさすがに追いきれなかったよね。全部のスポーツをやっていたら、何話あっても追いきれない。でも混成部隊というところが面白いというのはあった気がする。野球の格好でサッカーをやったり、剣道の格好で野球をやったり、そういう部分が面白かった。なにか一色に染まらないところが良かったというのは言えるだろうね。

幅広いファンがついたアイアンリーガーですが、実際はどの世代に向けて作ったアニメというのはありますか?

アミノメインのターゲットは子供向けですが、老若男女あらゆる人に観てもらいたいと思ってましたね。作った側のスタッフも野球マンガに思い入れがあったり、サッカーに思いこみがあったりしたわけなんですよ。そういう情熱がスタッフにあったから、しまいには誰に向けてというのは吹っ飛んじゃいましたね。スタッフは周囲の状況お構いなしに乗ってやってました(笑)。作品的にも伸び伸びと作れたからね。こんなことやったらダメとか、そういう制約が出できにくい作品だったから。僕は「キッズ向け=子供向け」と名うって作るアニメ、子供の目線にあわせすぎたアニメは、本当は子供向けじゃないと思うんだよね。こんな世界もありますよ、こんな世界もあるんですよと、子供たちに観せてあげることも大事なことだと思うんだよね。そういう意味では「アイアンリーガー」は本当の子供向けとして作れたんじゃないかな。

面白いエピソードは?

アミノマグナムエースの声優の松本保典がね、ボーシップ号が初めて出てきたときに、帽子の形をした宇宙船で名前がボーシップ号だっていうんで笑ってしまってね、しばらくは「まともに言えましぇ~ん」て笑ってた。でも、そういうエピソードはあっても、オンエアではオチャラケなしでやれたのが印象深いよね。十郎太が和尚さんと湯呑み茶碗でオイル飲んでいても、西部劇みたいにみんなでオイルを廻し飲みしても、たとえアイアンリーガーの吸血鬼が出ても、ふざけないで作れたのが良かったなあ。

アイアンリーガーを一言でいうと?

アミノ男臭いアニメ(笑)。うーん、昔の少年漫画って本当に「少年」漫画だったよね。今の少年漫画って、女の子にどうモテるかって漫画じゃないですか。そういう意味じゃ少年漫画の部分を持った、とても男臭いアニメと言えるだろうね。

2002年5月20日(月)取材。

プロフィール

アミノテツロー
(現アミノテツロ)
1955 10 10 千葉県出身と言はれてゐるが、定かではない。記憶にございません。気づいた時には東京都世田谷区に。
代表作:
アイドル伝説えり子、アイドル天使ようこそようこ、あしたへフリーキック、マクロス7、爆走兄弟レッツ&ゴー、DTエイトロン、ぶぶチャチャ等。